あの頃言えなかったありがとうを、今なら君に
どこか熱く揺れる盛岡の視線に射抜かれた私は、居心地が悪いと感じるのに何故か目が離せなくてー⋯


“なにって、そんなの⋯”



「介抱にッ!決まってんでしょ!!」

気付けば声を荒げていた。

ワッと叫ぶように言った私は、もう夜中であった事を思い出し慌てて口を閉じる。

そんな様子を眺めていた盛岡は、ゆっくりと部屋を見回して。


「ここ、山形ん家?」
「そーだけど⋯」

“なによ、ちょっとドキッとしたじゃない”

いつもとは違った雰囲気の盛岡は一瞬で姿を消し、少し落ち着きなく見回して。

「ほんっと大変だったんだから!後輩まで呼んでアンタをこのベッドまで運んだのよ」
「⋯は?後輩って?」
「十和田。私が1人でここまで運べるはずないでしょ」
「じゃあ十和田もこの部屋に入ったってことか?」


“何の確認よ?”なんて少し疑問に思うが、別に隠す必要もなかった私はそのまま「そうだけど」と正直に答えた。

それがキッカケだったのかー⋯



「⋯お前さ、危機感無さすぎねぇ?」

ポツリと盛岡が呟いたかと思ったら、気付けばぐるりと視界が回転していて。


「⋯えっ、え?ちょ、な、なに?」
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