トクベツにならないで〜独占欲の強い少女は人気アイドルになびかない〜


それを確認した俺はさっきまで向いていた逆…綾那の方を見る。

「……おーい。綾那起きてる?」

「…………うん。なに?」

綾那は結構ハッキリした口調で話す。きっと長いこと起きてたんだろう。
じゃあ体も起こしたらいいのに。

「日本史の教科書、返すよ。貸してくれてありがとう。」

「…ん。どういたしまして。」

綾那は伏せたままこちらを向き、手を出してきたからそこに教科書を渡す。

……ほっぺたが机に押されててぷにってなってる。可愛い。

それを見ると俺はつい、手が出てしまった。


ぷにっ


やわらかっ!ぷにぷにだ…。


綾那はその体制のまま俺を睨む。
必然的に上目遣いになっており、ドキッとした。

「……なにしてんの。」

「………。」

可愛い…

「ちょっと……。」

綾那は恨みを含んだ顔で一層強く憎んできた。だけどそんな顔も可愛いだけだ。ちょっと尖らせた唇が可愛すぎる…。

「ふふっ。かわい。」

あ、思わず本音が……。まぁ事実だしいっか。

「……は?」

綾那は呆れたような顔をするが、少し顔が赤くなっていた。照れてる事を隠せてないの、可愛いすぎだろ……。

てか俺可愛いしか考えてない。自分でも引くぐらい綾那に惚れてる。

綾那はそんな事、思いもしないだろうな。

そんな考えと共に自嘲の笑みがこぼれた。
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