トクベツにならないで〜独占欲の強い少女は人気アイドルになびかない〜

「それで?アイドル様が私に何の用?」

「隣の席になったからさ、せっかくだから仲良くなりたいなーって思って!」

陽キャの考え方だ……。みんながみんな仲良くできると思うなよ。

「……悪いけど私誰とも関わりたくないから。」

そう突き放したのに逢崎はめげない。

「いいじゃん!これも何かの縁でしょ?」

「しつこい。私は仲良くなりたくなんてない。あんたの考えを押し付けないで。」


ガタッと音を立てて立ち上がり、教室を出ていく。
教室にいたクラスメイトは息を呑んで私を見てる。


はあ、めんどくさい奴に絡まれた。


……また今回のことで噂が出回るんだろう。
まあ、どうでもいいか。いつものことだし。


「てか、どこ行こ………もう授業はサボっていいよね。」

息苦しい教室を出て私は当てもなく廊下を進む。
予鈴がなった後のため、廊下にはまばらにしか人がいない。

(とりあえず、空き教室探すか。無駄に疲れたな。)

つい溜め息をつく。
これからめんどくさくなりそうな予感がする。
私は2回目の溜め息をついた。

***

「あ、ここいいかも……」

誰もいない古い校舎の一つの教室を見つけた。
元々音楽室だったようで、布のかかったピアノが置いてある。
他の教室よりは少し埃っぽさが少ない気がする。

教室と廊下を挟む壁に背を預けて目を閉じる。

埃っぽさを少しでもなくすために開けた窓から冷えた冬の風が吹く。

ーーやっと一人になれた。やっぱり一人が一番だ。


……どうして人と関わらないといけないのだろう。
どうして一人でいることが許されないのだろう。

もう疲れた………。
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