姉の婚約者はワルイ男
「は、はじめまして。絢斗さんとお付き合いさせていただいている芝池柚葉と申します」
彼氏のお母さんにあいさつをするときは、かなり緊張するんだろうなって思っていた。
でも、ここまで突然の出来事に加え、お母さんがこんなに興奮していると、緊張ではなく驚きの方が勝ってしまう。
「柚葉ちゃんっていうのね!こんなにかわいい子が息子の彼女だなんて!どうしましょう!」
お母様は非常に楽しい方らしい。
でも、キライじゃない。
こういうお母さんもいいな、楽しそうで。
「母さん、柚葉ちゃん困ってるから」
「あら、ごめんなさいねー。私ったらって、絢斗。あなた、何ニヤニヤしてるの」
「別に、母さんには関係ない。初めて呼んでもらえたから……」
確かに松葉さんはお母様の言うようにずっとニヤニヤしていた。
それがまさかわたしが原因だったなんて。