姉の婚約者はワルイ男



“ごめん、柚ちゃん。急に仕事が入って行けなくなった。仕事が終わったら必ず電話する!本当にごめんね!”


晴れの日曜日、久しぶりに待ち合わせた駅のスタバの前に着くまで、このラインが入っていたことに気づかなかった。

外でのデートは久しぶりで楽しみにしてたのに。

それに今日はずっと見たかったミュージカル映画に連れて行ってくれることになっていた。


今日はついてないなあと、帰ろうか一人でミュージカル映画を見ようか、スタバの文字を眺めながら考える。


“わかったよ!仕事頑張ってね!”

彼にこう返信だけして、わたしは映画館に一人足を運ぶことにした。


日曜日の映画館は思ったよりも混んでいて、事前にチケットを購入していなかったわたしはチケット購入の最後尾に並んでいた。

すると、突然後ろに並んだ人にトントンと肩を叩かれる。

振り返ると、「キミも映画来てたんだね」と長身のあの男が立っていた。


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