姉の婚約者はワルイ男



「誰も誘える人がいなくてね。キミが来てくれるとすごく助かる」


途中で次の日曜日は姉が所属するオーケストラで大切なリハーサルがあると言っていたことを思い出し、しぶしぶ了承したのだ。

姉には助けられたし、松葉さんにも一応気にかけてもらったから、そのお礼もかねてだ。

日曜日は10時前に松葉さんが車で家に迎えに来てくれて、そこから目的地へと向かった。


「松葉さん、今日はどこに連れていかれるんですか?わたし」

「そう言えば、まだ言ってなかったっけね」

「そうですよ」


何も知らずに了承をしてしまったけれど、車に乗り込んでから少し後悔した。

いくらお礼だからと言っても、安易にまた姉の婚約者の助手席に乗り込んでしまったから。


「今からキミの服を買いに行きます」

「……はい?」

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