別れさせ屋に依頼をした私の結末
「私たち、付き合うことにしたの」
冬休み明け、登校して1番に美奈からそう告げられた時は、頭の中が真っ白になった。
ふたりが夜に電話をしたり、休みの日に遊びに出かけていただなんて、そのとき初めて聞いたことだったから。
――あれからもう半年。
時間が解決してくれたのだろう。親友の前でも本音を言えず、ひとりの時でしか泣けなかった私は、もういない。
友人として、ふたりのことを見守っていこう。そう思えるようになっているし、岡垣くんへの恋心なんてなかったことにできていた。
それなのに……。
「美奈のバカ」
彼女は1ヵ月ほど前から、クラスメイトの寺尾と急激に仲良くなり、一緒に過ごすようになっている。
さっきの岡垣くんを見ても思ったことだけれど、きっと、彼も気づいている。美奈が他の男の子に目移りしていることは。
どうにかして、元のふたりに戻したい。そう思ってはいるのだけれど――
「私たち、恋バナなんてしてこなかったよね~」
これは、半年前の余裕がない私の口から出た言葉。岡垣くんとのことを聞きたくなくて、のろけ話から逃げるために言った嫌味だ。
笑って言ったこともあって、当時は美奈も気にしてなさそうだったけれど。
今になって、その言葉が美奈との間に見えない壁を作っている。