別れさせ屋に依頼をした私の結末
「あー、松山から聞いた? 今日これからの話」
「“今日”?」
もう放課後で、今日は終わろうとしているのに、この後何かあるの?
首を傾げると、並木は私の表情をうかがいながら答える。
「今日早く終わったじゃん。テストも終わったことだし、みんなでどっか遊びに行こうって……昼休みに松山と話していて」
「“みんな”って?」
「俺と寺尾と、松山と水城」
クラスのみんなで行くのかと思いきや、まさかの4名。
というか、午後の休憩時間も、美奈は私と過ごしていたはず。日直の仕事でバタついていたとはいえ、そんな話、かけらも聞いていない。寝耳に水だ。
廊下から聞こえてくるのは、他のクラスの男子と話す寺尾の声。
つまり、寺尾と並木がまだ帰らずに残っていたのは、私と同じように美奈が職員室から戻るのを待っているからってこと?
「……聞いてない」
そんな話、聞いてない。美奈はいつ私に言うつもりだったのだろう。直前になって言えばいいと思っていた?
勝手に放課後のことを決めていた彼女に苛立ちが募る。
私は下唇をグッと強く噛んで、湧き出す怒りをこらえていた。