別れさせ屋に依頼をした私の結末
「っ……」

後ろめたさに覆われ、再び、目に涙がたまる。

「えぇ……。今の話、泣く要素あった?」

「……違うの」

違う。私、こんなふうに微笑みかけられるような考えは持っていなかった。

「私も、自分のことで頼んでる」

岡垣くんが可哀想だとか、美奈にも言ったけれど。

私の気持ちは、ずっと揺らいでいた……。

「岡垣くんのこと、諦めたから……。ふたりが不仲になってからは、“今なら岡垣くんも私のことを見てくれるんじゃないか”とか思うこともあるし、寺尾と仲良くしているのを見てたら、“諦めたのに!”って、美奈に対して腹を立てたりするの」

“揺らいでしまうのは、美奈のせいだ”

“美奈がちゃんと岡垣くんだけを見ていれば、私もこんなふうにはならないのに”

そうやって、全て彼女のせいにし、別れさせ屋に依頼までして……。

「だから、キングに言われたこと……結構図星だった」

ずるかった自分に嫌気がさして、まぶたを下ろす。

すると、突然、

「……それでも」

キングは切り返しながら、私の頬に手を添えてきた。

目を開けると、彼はまっすぐ私の顔を見つめ、その親指でこぼれた涙を拭ってくれる。
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