別れさせ屋に依頼をした私の結末

Card 11 ♦︎ キケンナオシゴト

こんな時間帯に帰宅姿でいるのは珍しい岡垣くんと、放課後を迎えて早々に教室を出ていたはずの美奈が、肩を並べて私たちを見ている。

ふたりが一緒にいることには驚いたが、それよりも……。

“タイミングぴったし”

そうつぶやいていたことのほうが気になっていた。

「その人は……?」

岡垣くんは私といる彼に目を向けて、ぎこちなく問いかけてくる。

「あ、えっと……」

“キング”と答えるわけもいかないし、だからといって、本名をばらすわけにもいかない。

どうしようと考えていると、そばにいた彼は私の肩に手を回して、顔を覗き込んでくる。

「“ミナ”って、言ってた親友の子?」

まるで、初めて見る相手のことを話すように、たずねてくる。

「え……うん」

話を合わせながら美奈を見ると、彼女は目が合うことを避けるようにして、顔をそむけた。

そっけない態度をとられ、胸が締め付けられる。

けれど、キングはそんな様子もお構いなしに、ふたりのほうへ、ずかずかと歩み寄っていった。

「はじめまして~。ミナちゃんの話はよく聞いてたよ」

「え、あ……」

「ああ、ごめんね! ずっと会ってみたかったからさ!」

強引に美奈の手を取って、ぶんぶんと腕を振りながら握手。

美奈が戸惑うとすぐに手を離していたけれど、悪びれもしない様子で今度は岡垣くんに目を向けた。
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