別れさせ屋に依頼をした私の結末
「見られちゃったと思うんだけど、この通り、俺たち今いい感じなんだわ。だから、今度4人で遊びにいこーね!」
と、めちゃくちゃなことを言って、この場を去ろうとする。
背中を押され、同じように歩かされている私は小声で言う。
「怖いことしないで!」
きつく睨んでも全くひるまなかったキングは、正面玄関を離れてから口を開く。
「俺のが怖かった。水城、あのまま俺のことを“キング”って言うつもりだったろ?」
「い、言わないよ!」
「すぐ顔に出るし、ウソつくの下手だろ?」
「っ、言っちゃだめなことくらいわかるよ……」
言うつもりなんてなかった。
でも、確かに、どう返すか困ってはいた。
「え、じゃあ……キングは、助けてくれたってこと?」
「都合よく受け取るね~。残念ながら、俺は自分の身を守っただけです」
「……そうですか」
感じの悪い言い方……。
でも、さっきのやり取りを振り返ってみると、あの振る舞いは正解だったと思う。
キングは一方的に話しかけ、岡垣くんから質問する隙を全く与えていなかった。
初対面から躊躇なくため口で話しかけられると、相手が見たことない生徒だったら、上級生だと思ってしまうものなのかもしれない。
学年が上だと思えば、自分のペースでは話しづらくなるだろうし……。