クールな君の甘さを知れば
幼なじみの本音

「あ、なるちゃんちょっと待って。忘れ物したかも」



「二日連続」



「ごめん、ダッシュで見てくる」



「急がなくていいから転ぶなよ」



なるちゃんが手伝ってくれたおかげで課題も無事に終わり、次の日になった。



今日は火曜日。



憂鬱な月曜日は過ぎ去ったものの、学校が憂鬱であることに変わりはない。



「お待たせ」



「もう忘れもんない?」



「うん…っていうか、忘れてなかった」



「アホ」



「ごめん」



いつもみたいに私の家の玄関前で待ち合わせして、いつもみたいに登校する。



なるちゃんの仏頂面はご愛嬌。



隣に並んで、片道約二十分の距離をのろのろ歩く。



なるちゃんなら十分で着いちゃう距離も、私に合わせてのろのろ歩いてくれるの。



優しい、イケメン、高身長。



成績優秀、スポーツ万能の王子様。



これで愛想が良かったらオールパーフェクト。



昔から告白されることが多かったなるちゃんだけど、無口あんど無表情男だからね。



怖がる女子もけっこー多い。



私には幼なじみのよしみで、昨日みたいに笑うこともしばしば。



なんだかんだ言って優しいのは、昔から何も変わらない。
< 5 / 77 >

この作品をシェア

pagetop