逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 指名されたヴェンが驚いて自分を指さした。
「こいつは見かけはなまっちょろいが、けっこう腕は立つ。道中で役に立つかもしれんからな」

 ヴェンがゴクリと唾を呑む。
 ソフィーはじっと考えていたが、
「・・それでは、そのように」
 言うなり立ち上がった。深々と礼をして出口に向かう。

 ヴェンがあわてて後を追った。
 玄関まで来たとき、ソフィーはくるりと踵を返した。

 食卓に戻ってアーロンに近づくと、

「・・あのぉ、恐れ入りますが」
「なんだ?」
「その、少々お借りできないでしょうか」
「なにをだ?」
「お金です、手持ちのものがないもので・・」
「・・金だと?」

 アーロンが絶句してソフィーを見た。


          * * * * *

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