禁忌は解禁された~銀二~
銀二は、一颯の甘い匂いや身体の温かさや柔らかさを思い出していた。


もっと早く……この気持ちに気づいていれば、姫は俺のモノになってただろうか?

銀二「いや、そんなわけないな……
姫は“最初から”組長を想っていたものな……」


この最低で最悪な世界で、正気を保っていられるのは姫のおかげだ。

苦しくて、辛くて、時には信じていた仲間でさえも手にかけることがある世界。

そんな地獄の中で、姫はまさに“光”その者だ。

姫がいるから、生きていられる。

姫のために、生きたいと思える。



銀二は、部屋を出ていつも行く廊下に向かった。

窓から空を見上げた。

丁度、夕日が沈もうとしているところだった。


銀二「………綺麗だ…」


一颯のことを、想った。

どうして、こんなに好きなんだろう。
どうして、離れられないのだろう。

何度も思った。
姫が手に入らないのなら、この屋敷を出て会わないようにすればいいだけだと。

しかし、例え一生手に入らなくても、この腕に閉じ込めることが出来なくても、傍にいたい。


だったら一生傍にいて、姫だけを想い続けよう。

想うだけなら、悪くないだろう。



銀二「姫…姫…
私は、貴女を心から愛しています……!」



銀二は、決して届かない想いを空に向かって吐き出した。


落ちていく夕日が、銀二を優しく照らしていた。










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