【完】おにぎり恋愛日和‼︎

最近さらには食事や日用品やら貢ぎ物をされるのも日常と化したとある日。

ドライブに行きたいと観光雑誌を眺めていたら、週末家の前で車に乗って待機している天音くんがいた。あれよあれよと言う間に車に乗せられ、連れて行かれたのは海が一望できるオシャレなレストランだった。フレンチのランチはとても美味しかった。払おうと出した財布は天音くんに投げられた。道中も喉が渇いたらコレを飲んでとカフェラテを渡され、寒かったら使っていいからとブランケットも渡された。

それに毎日のように電話が掛かってきては、普段どこの化粧品を使ってるやら、何が欲しい料理本はあるかやら、どこか行きたい場所はあるかやら、話す内容のそのほとんどが私を軸に回っている。

「うーん、これはどうしたもんか」

その様にされて悪い気はしないのだけれど、別にそんな事しなくたっていいのにとも思う。だって、こんなに貰ってしまっても、私は何も天音くんに返せないのに。

でも彼はそんな私に言うのだ。

「おにぎり、握ってくれたらそれでいいから」と。
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