【完】おにぎり恋愛日和‼︎

時には喧嘩だって必要だもの



「今日は来てくれてありがとう」
「こちらこそ。招待してくれてありがとう」 

都内某日。

私は夏樹くんが開催した例の「お茶会」に招かれた。

光春くんは紅茶にさほど興味がないのに、1人じゃ心配だからと一緒に来ている。別に取って食われる訳じゃないのに。

何度も彼の家を訪れたことがある光春くんナビで出発し、高速を走って約20分。到着したのは、これはまた次元を超える豪邸だった。その時初めて、夏樹くんがあの大手医療機器メーカーの千堂一族のひとりだったと知った。

まさかご実家がお金持ちだったなんて、驚きの連続である。お手伝いさんがいる家なんて本当にあったんだ、と物珍しいそうな顔で見回していた私に「ほら、ちゃっちゃと歩きな」と後ろから光春くんが急かしてきた。映画から出てきたような英国風な建造物だから、欲を言えばもうちょっと見て回りたかった。
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