【完】おにぎり恋愛日和‼︎

「光春くん、見て見て!」  

嬉々とした声色で俺の名前を呼ぶ彼女。大勢いるスタッフの間を小動物のようにすり抜けて駆け寄ってきた三鈴を見て、思わず息を呑んだ。

「どうしたの、それ」
「ふふ、メイクさんがしてくれたの」

「どう?」とにこやかにほほえむ彼女・・・いや、俺の奥さんはとびきり可愛くなっていたのだ。

今日はライブのリハーサル。
家で暇そうにしていた三鈴を引き連れて会場にやって来た。演出の確認の為しばらく離れていた間に、打ち合わせで来ていたメイクさんに化粧を施してもらったらしい。

さすがプロの腕。いや、ここは我が奥さんのポテンシャルの高さも大いに評価すべきだろう。

「少しは雰囲気変わるかな?」
「かなり。どこの売れっ子女優かと思ったよ」

とにかく、とても可愛かった。今すぐその艶めかしい唇にかぶりつきたい。その華奢な身体をこの腕で抱き込みたい。現在、昂る気持ちを抑え込むのに必死である。
< 354 / 368 >

この作品をシェア

pagetop