【短編】ヴァンパイア総長様はあざとかわいい
 トクトク、ドクドクって、心臓の音が早くなる。
 そんな私に古賀くんは告げた。

「介抱してくれてありがとな。じゃあまた会おうぜ、ヒメ」

 去り際に、私の手を離すと同じ手で頭をポン、と軽く叩かれる。
 その仕草にもドキンッと一々反応した心臓のおかげで、私は何の言葉も返せず古賀くんの背中を見送った。

「……何だったんだろう?」

 介抱したと言ってもほとんど何もしていない。
 ベンチに座らせたら、いつの間にか勝手に元気になっていただけ。

 それに「またな」って言われたけれど、もう会う機会なんてないんじゃないかな?

 キレイでかわいくてちょっとカッコ良かったけれど、変な子だなって思った。

「そうだ、帰って絆創膏貼り直さなきゃ」

 血がまだ出ていたのに、と思って指先を見るとその血は止まっている。
 それどころか、ケガ自体がキレイに治っていた。

「え⁉」

 そういえば舐められた後痛くないなって思ってたけど……何で治ってるの⁉

 私は古賀くんが去って行った方を見て、あの人は何者だったんだろうって疑問に思った。
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