司先輩、甘すぎです…

「そっか。
じゃあ、もう早く行った方がいいな。」
「え?」
不思議そうな彼女。
まさか…忘れてんのか?
「お前、新入生だろ?入学式あるだろ。」
「あっ」
思い出したのか、そう声を漏らした。
「わ、忘れてました…」
「マジか…」
「うっ、情けない。」
顔を歪ませた美琴。
表情がコロコロ変わって面白いな。
「ほら、早く行くぞ。
たぶんもうすぐ入学式終わる。」
「じゃあ、早く行かなきゃ!」
ソファから降りて、走り出そうとしている美琴。
「待て。」
俺は美琴の肩をガシッと掴んだ。
「走るな。お前、目離したらすぐ迷うだろ。」
「そ、そうでした。」
否定しないのか…
「ほら、お前、すぐ迷うし手繋いどくぞ。」
言ってから後悔する。
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