追いかけろ、青。




あっさりと私は承諾してしまった。

日直である友利の仕事を、快く受け持った。



「練習を…優先して欲しかったから」


「…おう」



明日から夏休み。


いつも以上に忙しく教室を出て行った野球部に吹奏楽部、チアリーディング部は、決して終業式が終わった嬉しさからじゃない。


いよいよだ。
いよいよ明後日、迎える土曜日。

若戸学園に立ち向かう八木坂高校を見る。


───パタリ。


ちょうど書き終えてしまったと日誌を閉じたところで、前の席に座った友利。

くるりと体勢だけ変えて私と向き合った練習着には、土が付着していた。



「怪我の様子は…」


「バストバンドも取れたし、痛みも違和感も問題なし」


「……よかった」



早すぎる復活を遂げた。

過去に肋骨骨折をしたものの、約20日で試合に戻ったプロ野球選手がいたらしいが、それと同じくらいの驚異的なスピードだった。


いや、前の準決勝での活躍を思い出せば、そのプロ野球選手より友利のほうが早い。



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