限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

17 誤算

「おいおい。ちゃんと、経緯を説明してなかったのか?」

 イーサンは後ろから付いてくるいかにも怪しげな男性を振り返り、隣を歩く私も帽子を被り挙動不審の彼を確認すると笑いを堪えきれなくて吹き出した。

「……してるわ。けど、多分もうすぐ怒られて帰ると思うので、少しだけ我慢して」

 王都の大通りを歩いてデートしている私たち二人は、露店で立ち止まったり、買い物を楽しんでいたんだけど、どんなに変装しようが背が高く見栄えの良い目立ちすぎる男性を見逃してしまえるはずもない。

 けれど、ご多忙な王太子ギャレット様は正午より来客があるはずなので、護衛騎士という名のお世話係ガレスに首根っこを掴まれて帰って行くはずだ。

 もし、何かあれば国際問題にも発展してしまいそうなあの人が、何故こんなにも自由が許されているのかというと、ただ単に本人が単体でも強過ぎるからだと思う。

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