限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

08 キス

 イーサンはそれ以来、お茶会や夜会で隙をついては参加者の一人として私に話しかけてくるようになった。

 まだ彼はただの商人であるはずなのに、何故貴族の夜会に参加出来るかというと、きっとやんごとなき高貴な誰かの紹介を受けて潜り込んでいるのだろう。

 今夜、城の大広間で開かれた夜会でも、イーサンはそれとなく挨拶をし五分ほど世間話をしてから颯爽と去って行った。

 話術が優れた彼らしく、今も何人かの紳士と話して盛り上がっているようだ。きっと、自分の商売のチャンスを探しているのよね。何回か生まれ変わっても使い切れないくらいお金を持っているだろうに、その手に触れるものなんでもお金に変えてしまいそうな彼らしい。

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