限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

13 独り言

 クインは、今からでも何もかもを明かせば遅くないと言った。けれど、私は何もかもがもう遅いと首を振った。

 ギャレット様は婚約者だった私に好意的に近付き、そういう感情を素直に表現してくれた。自分勝手にそれを裏切っただけの私は、彼に何を言うことが出来るだろうか。

 貴族学校に通うあの子は、どうしても明日提出しなければならない課題が残っているからと、心配そうに帰って行った。

 私も寝巻きで見送りする訳にもいかなくて、着替えはしたものの、またすぐに自室に戻り、ぼんやりとベッドに座っていた。

「……あー……これは、勝手な独り言なんだが」

「……イーサン。何の用?」

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