ソネットフレージュに魅せられて

第53話

本当に雅俊のことが好きかそうじゃないのか
わからないまま付き合って、
1か月記念日も過ぎて、
恋人たちのクリスマスという
12月になろうとしていた。

交際はするが、
一緒に登下校することは毎日はしないとか。

気分的な時に良いよと許可する形にしたり、
少しでも雅俊の嫌いな要素を作らないよう雪菜としても
努力はした。倦怠期というやつが来てるのかもしれない。

周りからは都合の良い人になってないかと非難を
浴びたり、相変わらずの学校での嫌がらせは続く。

殺されはしないからいいかとたかをくくったり、
直接文句を言いに来ないだけマシかと思っていた。


放課後、久しぶりに一緒に帰ることになった。

「あのさ、クリスマスなんだけど、
 俺、バイトのシフト入っちゃってさ。
 当日、一緒にいられないんだけどいい?」

「あー、そうなんだ。
 私は別に、気にしないけど。
 別な日にクリスマスする人も
 いるって聞くし。」

「光ぺ。見に行こうよ。
 俺、まだ誰とも光ぺ
 デートしたことないから。」

「光ぺって…。
 光のページェントのこと?
 でも、それに行くと
 別れるってジンクスあるよね。
 気にしないの?」

「そんなの、嘘に決まってるだろ。
 恋人たちのクリスマスに
 光ぺは欠かせないさ。
 なぁ、いいだろう?」

 雪菜よりも女子力が高い雅俊だった。

「いいけど、どこでご飯食べるとか。
 予約してくれるんだよね。」

「あーうん。
 わかった。予約するから。
 希望ない?」

「なんでもいいよ。
 まぁ、クリスマスだし、洋食がいいかな。」

「了解。
 そしたらさ、
 12月10日の日曜日でいい?
 ちょっと早いけど、
 他は、
 バイト入って予定組めないから。
 鬼店長、
 俺のシフト入れまくってくれたからさ。」

「いいよ。大変だね。
 バイトするの。
 部活やめたからなおさら?」

「まぁ、足けがしたから
 無理できないしね。
 バイトはできるから。」

「稼げるならいいじゃないの?
 大学の費用貯めてるんでしょう。」

「うん、親父が貯めろっていうからさ。
 厳しいからそういうの。」

「でも雅俊、勉強は大丈夫なの?
 学年違うから気にしたことない。」

「俺の成績知りたいの?
 でも教えないけどね。」

「えー、いじわるだね。
 でも知りたくないかも。」

「な、なんで?!
 学年2桁以内でおさまるよ?」

「……言っちゃったぁ。」

 指さしてしてやったりの顔をする雪菜。

「うわ、最悪。
 だまされた。」

「頭いいじゃん。
 大丈夫そうだね。
 頑張れ、来年受験生。 
 んじゃ、また明日ね。」

 玄関の扉を開けては手を振る雪菜。
 約20分間の通学路を歩くのが
 すごく貴重な時間に思えた。

 扉が閉まっても、しばらく様子を見ていた
 雅俊は、ため息をついて、
 自分の家の扉を開けた。

 一緒にいても距離感を感じるようになった。
 
 ここに心のあらずの雪菜と一緒にいて
 いいのだろうかと疑問符を感じる。

 雪菜と雅俊は、お互いに何だか
 満たされない日々を
 過ごしてる感覚が過ぎていた。
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