王子は私のモノなんです!
本編

1.王子は私のモノなんです!

第二王子であるセルジオ・ジルベルと、私ことテラノサ公爵家のカテリーナの婚姻が本日正式に成立した。

セルジオとの婚約は彼が10歳、私が8歳の時に結ばれた。
第二王子とは名ばかりの、力のない側妃の息子であるセルジオは継承順位は誰よりも低く、この婚約はセルジオの後ろ盾としてではなく、“公爵家が力を持ちすぎない為”のものであった。

貴族令嬢として生まれ、そして貴族令嬢として教育を受けていたカテリーナにとっては相手が王族であっても家門の得になる訳ではないセルジオの元に嫁がなければならないのは屈辱的で、その性格を歪ませる原因になったのだろう。

“家の得にならないのなら、せいぜい私に尽くしなさい”
“貴方は私のモノですわ”

婚約を結んでから幾度となく要求し、あえてわがままに振る舞ったりもした。
しかしセルジオはカテリーナのどんな言葉にもただ頷き、従った。
陛下の色を1つも受け継がなかったセルジオはどこにも居場所がなく影で馬鹿にされていたが、その月の光のようなシルバーブロンドの髪にルビーのような瞳が本当に美しい少年だった。
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