王子は私のモノなんです!

最終話:歪んでいるのは

「怒って、いらっしゃるのですね···?」

婚約を結んだあの幼い日から今日まで繰り返し自身のモノのように扱い、カテリーナの気がすむように振る舞わせて。

これは罰なのだと思い、絶望の色を目に宿したカテリーナの瞼にそっとセルジオが口付けを落とす。

「いいえ、違いますよカテリーナ。伝えましたよね、俺は貴女のモノになれる日をずっと望んでいたのだと」

その口付けと、その声が優しくて。
そして目を開けたそこのセルジオも、本当に柔らかく微笑んでくれていた。

「王室での俺の扱いはまさに要らないモノでした。継承順位も低く、見た目も···残念ながら陛下の色を持たなかった為父に呼ばれる事もなくて、側にいる侍従にもハズレ扱いをされてきた」

そんなセルジオが出会ったのは2つ年下の少女だった。

「カテリーナは、ハズレの王子としてではなくセルジオとして見てくれた。この見た目を気に入ってくれた。欲しいと望んでくれた。俺を、貴女のモノにしてくれると約束までくれた···」

陛下の色を持たないセルジオはその血筋すら怪しまれていた。
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