王子は私のモノなんです!
トータルで見れば、俺が王になってカテリーナが王妃として君臨すれば国はもっと良くなるのではないだろうか。


母が権力に目が眩んでいる今、第三王子に毒でも盛れば。
そして、母であろうと民からも信頼厚かった弟を手にかけた事を許すわけにはいかないとそう涙ながらに息子の俺が断罪すれば、民衆からの支持も手に入るだろう。

そうすれば彼女に国も捧げられるな。


クスクスと笑いがこみ上げる。


「手をかける必要はありません、私は国を望んでおりませんわ」

そうキッパリ告げられドキッとした。

「私はわがままですが、欲張りではありませんの。手にするのは1つだけ、貴方だけで構いません」
「カ、テリーナ···?」

どうしてそれを、と思わず呟いたセルジオに、平然とカテリーナが答えをくれる。

「私なら素晴らしい王妃になれる、と仰られたからですわ」

だが、確かに言ったその言葉の前には、弟がいい王になるという話もしていたはずだ。
だったら会話的には王になる弟にカテリーナが似合うという話に繋がってもおかしくはないはずで、そしてあえてそう思うように会話を動かしたはずだったのに。
< 29 / 40 >

この作品をシェア

pagetop