心の中だけうるさい私はウチの坊っちゃんが可愛くて仕方ない

5.鉄仮面が剥がれるとき

 坊っちゃんに手を引かれ連れられたのは、先日閨教育を行ったばかりの坊っちゃんのベッド。

 促されるまま腰掛けた私は、そこでやっとあることに気付く。


“消毒って、そういう意味でしたか!”

 それなりに鍛えている私があんな石ころに怪我をさせられるはずなどないのに、と首を傾げていたのだが、性的な意味での消毒だと知り途端にバックンバックンと心臓が暴れだす。


「……怖かったよな」
「いえ全然」
「俺は怖かったよ」
「消して参りましょう」
「いいです」

“可愛い坊っちゃんを怖がらせるだなんて言語道断、欠片にして見逃すのではなく砕いて砂にしておくべきでしたね”

 すぐさま立ち上がろうとした私だったのだが、そんな私を引き留めるように坊っちゃんが口付けをして。


「うっかりについて、考えてきたか?」

 熱っぽく囁かれながら体重をかけられる。
 ぽすんとベッドに仰向けで転がった私の視界が天蓋と、そして可愛い坊っちゃんの艶かしい表情でいっぱいになった。

 至近距離で見つめられると私の頬をくすぐる坊っちゃんのアッシュグレーの髪が柔らかそうに揺れ、触れたい衝動に駆られる。

「イメルダ?」
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