恋を忘れたアラフォー令嬢~遅咲き画家とのひとときの恋
【令嬢に反発した私】
私、南都 弥栄子(みなと やえこ)は43歳。
海外にも支社を構え、古い歴史を持つ、大手企業「南都商事」の娘。
「社長令嬢」と呼ばれながら、令嬢らしきお嬢様では無かった。

小さい頃から「お嬢様」と言われ、腫れ物に触るように扱われた。
何の不自由もない生活に、端から見ると羨ましいと思われるけど・・・
友達と遊ぶのを制限され、習い事ばかりで、幼馴染みと言える友人は、1人もいない。
父と母は夜遅く、兄は塾通い。
広いリビングで、夕食を1人で食べる事もあった。
いつの間にか、家に居る私は、笑顔を見せなくなった。
父は、2人の兄ばかりに力を注ぎ、母は、父の言うことに反発が出来ない。
怒られている私が助けを求めても、俯くだけ。
私の理解者は、家政婦の友江さんと、2番目の兄、裕司兄さんだけだった。

大学に入ると、父から、
「お前達は、南都を背負っている。これからの人生のために、友達も今から選びなさい」
大学生になっても、自分の価値観を押しつけられ、何かと言えば、南都の名を出す父に、うんざりしていた。

心が満たされない・・・
2人の兄さん達には悪いけど、私は家の為に、自分の人生を注ぎたくない。
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