恋を忘れたアラフォー令嬢~遅咲き画家とのひとときの恋
絵の横で、あの優しい笑顔で佇む井上さん。
辛かったけど、個展が開けるまで名前を知ってもらえて、私が涙を流した甲斐はあったかな・・・
井上さんの横に飾っている絵・・・
絵の題は「私の女神」
珍しく、風景画に人物が描かれている。
人物画は見たこと無かったけど・・・
この絵、賞も獲ってるんだ。凄い・・・
良かった。こんな笑顔が見れるなんて。
やっぱり、色気が漂っているね・・・
きっと、モテて、新しい彼女も居るんだろうな。
そこに表題でコメントが載っていた。
「この絵は、どれだけお金を積まれても、販売はしません」
そんなに思い入れがある絵なんだ。
私は画面を、少しずつ拡大した。
この背景、見たことある!
確か、もう1枚出展するはずが、描きたいことがあると、言ってた絵だ。
もっと拡大してくと、窓から外を眺める女性が描かれていて・・・
その人の髪を束ねているシュシュは、白に紫のラベンダーと赤い薔薇が描かれている。
私があの夜にしていたシュシュ・・・
私を描いてくれたんだ。
胸が熱くなった。
ありがとう。
その言葉が井上さんに届くことは無いけど、私は、一度だけ体を重ねた夜を思い出し、涙で目が潤んできた。
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