あしらってるつもりの浅黄くん SSまとめ
「……それに、雨の日はとくべつ」


 そう唐突につぶやいて腕を組みなおした千歳を見おろす。


「?」

「くっついても浅黄くんいやがらないから」

「……十分嫌がってますけど!?」

「ううん」


 赤くひかる信号にさしかかったところで、千歳がゆるく頭をもたげてきた。


「ほんとにやさしいし、だいすき」

「……そうかよ」


 押しかえそうかと思ったけど、雨で冷えた体のうちくっついてるところがあったかくて、されるがままにしておいた。

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