あしらってるつもりの浅黄くん SSまとめ
「おめめパッチリじゃーん。頭なでてあげるー」

「ヤメロ、まじで」


 こんなの絶対やばいって。


「ぎゅってしていー?」

「ま、やだ、ほんとに……っ!」


 もう正直めちゃくちゃいい匂いするし、気ぃ抜いたらやばい、から。


「だめなのー?」


 くすっと笑いながら腕をまわしてくる千歳。

 あ、くそ。
 目ぇつぶっててもいろいろ分かる。


「~~~~~っもう、だめだってば」


 いっしょにいてやりたかっただけなのに、こんな。体目当てみたいに思われたら――……


「……ッこれ以上、さわんなよッ!!!」


 ぐっ、とやみくもに千歳を壁のほうに押しのけると、部屋は一気にしんとして自分の息の音だけになった。
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