女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
「その感覚がすごいよ。羨ましい」
 ジーッと優里が俺を見つめてくるので、手を止めて彼女の頭をポンと叩いた。
「優里は語学が得意じゃないか」
 昔、優里にしつこくせがまれて勉強を教えたことがあるが、英語はいつも満点に近い点数を取っていた。
「まあね。でも、自分が数学とか算数苦手だったから玲人くんが羨ましくなるの。健くんね、いっぱい勉強して玲人くんみたいなお医者さんになりたいって言ってたよ」
 その話は初めて知った。
「へえ」
「だから、手術成功して、受験にも合格してほしいな……って、玲人くんにプレッシャーかけてるかな?」
 ハッとした表情で聞いてくる彼女に優しく微笑んだ。
「いや。頑張らないとって思うよ」
 健くんに普通の生活を送らせてあげたい。
 彼はまだ十二歳。これからいっぱい楽しいことがある。
「よかった」
 ホッとした顔をした彼女を見て不意に安産守りのことを思い出し、クスッと笑って告げた。
「ところで、優里が健くんに渡したお守り、安産守りだったよ。それでも健くんは喜んでたけどね」
「ああ~、やだ~。健くん、ごめんなさい」
 俺の話を聞いて優里は青ざめ、この場にいない健くんに頭を抱えながら謝っていた。

< 187 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop