女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 今だってそうだ。
 私の目を見て彼が微かに笑うとエレベーターの扉が閉まった。
 どうか健くんの手術が成功しますように。
 手を組んで祈っていたら、笠松先生と真美さんがやってきた。
「優里ちゃん、そんなところでお祈りして……。どうしたの?」
 笠松先生に声をかけられ、ふたりに挨拶する。
「あっ、おはようございます、笠松先生、真美さん。今日玲人く……先生が私が勉強教えてる子の手術をするので、祈っていたんです」
「ああ。そういえば、昨日医局に行った時、四条真剣に資料見てたな。きっと今日の手術のためなんだろうな。大丈夫。絶対成功するよ。なんせあいつは天才だから」
 私を元気づける彼の言葉にとびきりの笑顔で返す。
「はい」
「そうよ。玲人先生を信じなさい」
 真美さんも私の背中を優しく叩いて励ましてくれる。
 笠松先生もエレベーターに乗ると、私と真美さんは更衣室に行って制服に着替える。まだ他の事務職員は来ていない。
「今日は笠松先生の家から来たんですか?」
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