女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
シャワーを浴び終え、バスタオルを身体に巻きつけると、そのままバスマットの上に座り込んだ。
 明日……会社行きたくない。また部長に襲われたらどうしよう?
 顔を引っ掻いたことを責められたら?
 日中でもどこかに閉じ込められるかもしれない。
 怖い……怖いよ。
 襲われそうになった時のショックが今になってきて、嗚咽を漏らしながら泣いていたら、バスルームのドアが開いて玲人くんが現れた。
「優里?」
「だ、大丈夫」
 反射的にそう言ったら、彼がしゃがみ込みながら私の頭に触れてきた。
「泣いてるのに、大丈夫なんかじゃないだろ? もうあの会社には行かなくていい」
「でも……私、パソコンの電源落として……ないの」
 部長に襲われそうになってパソコンの電源も落とせなかった。
 しゃくり上げながら一大事だと訴える私を抱き寄せて、玲人くんが優しく頭を撫でてくる。
「そんなの気にしなくていい。もうなにも心配しなくていい」
 彼の温かい声がじわじわと心の中に入ってきて、今まで抑えていたものが一気に溢れ出し、彼の胸の中で子供のように泣きじゃくった。


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