ひとたらしどうし
大体が、名前から好みなのだ。


叶夢、で、《かむ》、だなんて。


おまけに、180センチはあろうかという長身に、作業服を腕まくりしたときに現れる、腕の筋。


その腕の筋だけでわかる。


たぶん、脱いだらすごいんだろうな。


って、なにがすごいんだ。なにが?!


自分自身に激しく突っ込みながらも、目線は必死に彼を追っている。


ざわざわとした食堂内。


彼は同僚たちとおだやかに談笑しながら、ご飯を食べている。


どんぶりの中身は、きつねうどんだ。


私の目の前にも、きつねうどんのどんぶりがある。


当たり前だ。


彼の数人後ろに並んで、彼とおなじものを注文したのだから。


はぁ。


しっかし、キレイにお箸を持つなぁ。


あの指先がもし、もし。


私を抱き締めてくれたら…?


妄想は、あっちこっち、へ。








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