溺愛社長の2度目の恋
第6話 夏音ちゃんを俺にくれ
檜垣さんと直接話してイメージも固まったので、デザイン画を描き起こす。

「うん、いいんじゃないかな。
というか檜垣のあれでよく、こんなデザインできたね」

有史さんは感心しているが、私はあの話でかなり明確なイメージを抱けたんだけどね?
社長のOKも出たので檜垣さんにイメージ画を送る。
とりあえず、この仕事はこれで一区切りだ。



「よっ!」

翌日、会社の休憩コーナーでぼーっとコーヒーを飲んでいたら、いきなり後ろから誰かに抱きつかれた。

「ひっ!」

「おっと!」

思わず落としたカップをその人がキャッチする。

「驚いた?」

そのカップを私に渡し、顔をのぞき込んできたのは――檜垣さんだった。

「いきなり抱きつかれたら、そりゃ驚きますよ」

おかげで全力疾走でもしたかのように、まだ心臓はドキドキしている。

「すまん、すまん」

しかし檜垣さんは笑っていて、真面目に詫びる気はないようだ。

「でも、急にどうしたんですか?」

こんなところで立ち話なんていいんだろうかと思いつつ、マシンに彼の分のカップをセットする。

「ん?
昨日、送ってくれたデザイン画を見てさ。
この感動を直接、夏音ちゃんに伝えたくて、文字通り飛んで帰ってきた」

「飛んで……?」

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