アラフィフママを溺愛するのは植物男子でした

「あ、先輩。栄養剤なんかも買っておいた方がいいですよ」

 郡山くんが、アンプル式の植物用栄養剤を手渡してくれた。
 もしかして、詳しいのかな……? それとも、またスマートに事前に調べてくれた?

「うん、ありがとう」

 買い物を終えると、マンションの前まで送ってもらった。

「郡山くん、今日は本当にありがとう。助かったわ」

 車も出してもらったし、荷物持ちもしてもらったし、このお礼はいつか返そう……と思っていたんだけど。

「玄関前まで運びますよ。駐車場、どこですか?」

 ……結局、五階の玄関前まで郡山くんに土と植木鉢を運んでもらうことになった。
 他の軽い物は袋にまとめて私が持ったけど、きっと、重いものを選んで運んでくれたんだよね……? エレベーターを使ったとはいえ、お互い汗が滲んでいる。
 これはもしかして、お茶の一つでも出さないとさすがに申し訳ないかな……。

 いや、でも、自分に好意があるかもしれない男性を、気軽に家に招き入れていいものなのか、うーん……。

「先輩、あの……先輩が迷惑じゃなければ、種を植えるところまで手伝ってもいいですか?」
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