アラフィフママを溺愛するのは植物男子でした

 社内の食堂は、食品会社なだけあって社員からの評判もいい。
 時々、新商品の試作品がメニューに出ることもある。
 いつもはひしめき合っている空間だが、ランチタイムはすでに終わっていて誰もいなかった。
 私は、隅にある軽食の自動販売機でパンを買い、三島さんが差し入れてくれたコーヒーと共に、少し急ぎ気味で食べた。

「 チ ー フ ッ 」

 自分の飲み物を買ってきた三島さんが、何か含みのある言い方で私の隣に座った。
 ものすごく、笑顔だ。

「さっき、見えちゃったんですよね」
「何が?」
「郡山課長との、メッセージ!」
「えっ? さっきの、お疲れ様ってやつ?」
「違いますよ! その上に、何かキラキラの絵文字を使っていたでしょう!? あれって、プライベートですよね!? ね!?」

 そう言う三島さんの瞳が、キラキラ輝いていた。

「覗き見は良くないゾ」
「だって、見えちゃったんですぅ〜」

 まあ……隠すほどのことでもないか。
 私は、観念して今朝の芽が出た写真だけ見せた。

「ん? 芽……ですか?」
「そう、ちょっと色々あって、郡山く……課長と花を育てることになって。キラキラの絵文字は、“芽が出たよ”って、ちょっとはしゃいじゃっただけ」

 三島さんに知られるのはちょっと恥ずかしかったけど、冷静になって言えば、別に大したことじゃないわよね。うん、たかが花だもの。
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