アラフィフママを溺愛するのは植物男子でした
 彼に聞こえるように、少し大きめの声で言うと「おかえりなさい」と、寝室から声が聞こえた。
 本当に動けないのね。寝室から言われるなんて、なんだか変な感じだ。
 そういえば、いつまでも「あなた」とか「彼」とか呼ぶわけにもいかないなぁと、私は部屋着に着替えてから、スマホでオレンジ色の花を検索した。第一印象はガーベラだった。
 オレンジのガーベラの花言葉は「神秘」。
 神秘というよりも、不可解で不思議な存在だけれども。
 種類は、ミノウという種類らしい。

 ミノウ……は、ちょっと言いにくいかな。
 ミノ……とか……? うん、いいかも。
 郡山くんには申し訳ないけど、名前だけこちらで決めさせてもらおう。

「結衣子さん、顔を見せてください」

 呼ばれて、私は寝室へ入っていった。
 さっそく名前をつけてあげないと。

「あ、あのね、あなたの名前──」
「結衣子さん!」
「は、はい!?」

 突然大声を出されて、びっくりした。

「もっと近くで顔を見せてください」
「えっ?」
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