泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─

「でも、やっぱり中途半端はダメだね。俺はまた優し過ぎた」


ジオの無の声がユア王女の不安を掻き立てる。


「お前を封印した。

誰の目にも見えないまま、

誰にも助けてもらえないまま、

そこに突っ立たまま誰にも看取られず、

誰にも葬ってもらえないまま。

孤独に静かに消えて?」

「どういう、意味、なの?」


ユア王女の額には冷や汗が浮かんだ。


「ユア王女様?!どちらに?!」


護衛の様子から、本当に誰にも姿が見えていないことはユア王女にもわかった。


(もし、この狭い箱の中で誰にも見えないまま置き去りにされたら?)

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