喫茶店の悪魔
同居2
レトロなクラッシック音楽が聞こえる喫茶店の外は、雨の音に覆われている。
大きなガラスの先は数粒の雨が重力のせいで下に落ちている。地面に跳ね返った僅かな雨の雫が光って見える。
―チリリリンッ
「いらっしゃいませ。何にいたしますか」
「抹茶とチョコクロワッサン」
また今日もその順番で注文をするんだな。ちらっと見るとお客さんと目が合う。
「…えっ」
「ん?」
「どうして、そんなに濡れているんですか。」
髪も服もびちょ濡れに濡れていて、ふさっとした髪が収まって落ち着いている。
「あー傘なかったから」
「仕事場からここは近いんですか。」
「んーまあまあ。そこから走ってきたからこんなに濡れてるんだろーけど。あ、お昼食べた?」
「はい、適当に食べました。」
金髪さんは、端っこの4人がけの席へと座り込んだ。まあ、今日は混んでないし許そう。と思っているのは私1人だけだろう。
この喫茶店には駐車場がない。なので、歩きか自転車しか選択肢がないのだ。
だからか、雨が降っている日はあまり混んでいない時が多い。
ぼーっとしていると、隣から肩をトントンと叩かれた。どこかニヤついた笑みを見せる白浜さんだった。
「ねぇ東條さん」
「はい。」