18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~
8月になって、私は午前中だけ学校へ行くことになった。
1学期末テストで平均点以下の生徒たちのために補講を行っているのだけど、参加は自由だった。
私は数学で悲惨なことになっていたけど、遥さんに教わったおかげでテスト問題は解決できたし、補講は必要ないと思っていた。
「珍しいね。今から参加するなんて」
数学の先生にそう言われて、突然申し込みをしたことを謝罪した。
「ごめんなさい、急に」
「いや、いいんだ。だってほとんど生徒がいないから大歓迎だよ」
がらりと教室を開けると、十数人ほど生徒がいた。
別のクラスからも参加していて、その中に伊吹くんがいた。
「人数が少ないから全員前の席に固まってもらってるんだ。秋月さんは香取くんの前の席ね」
うわあ、まさか伊吹くんがいるなんて知らなかったよ。
小春がいないのに、伊吹くんとこんな近くで緊張する。
「お、おはよう」
ドキドキしながら挨拶をすると、彼は「おう」と素っ気なく答えた。
やっぱり苦手だよ。
だけど、ただ補講を受けるだけなんだし、関わることはないよね。
「……どうでもいい」
ぼそりと背後から聞こえてきた声に、びくっとした。
何のことを言っているのだろう?
もしかして私のこと?
いや、気にしても仕方がないよね。