１８婚～ヤンデレな旦那さまに溺愛されています～

２５、朝陽と遥

＜ 朝陽 ＞

　私立葉子二羽学園の学園祭だ。

　一般公開のこの日、朝陽はその学校にいた。

　彼女はここの卒業生である。

　
　スポーツと漫画をこよなく愛する彼女は陸上部と漫画研究部に所属していた。

　とは言え、漫画は読むだけだった。


　このたび、サッカー部だったはずの伊吹が漫画研究部と合同で何か出すらしいことを聞いて久しぶりの母校に足を運んだ。


「それにしても、今は妙な部があるのねえ。推しを愛でる会だなんて」

　そんなことをひとり呟きながら、賑やかな校内に入った。

　懐かしい感覚に浸っていると、人混みの中に信じられない人物を見つけて急いで壁の向こうに隠れた。


「あ、あれは……まさか！」

　会社の上司がいたのだった。

　それも、想い人だった。


「う、うそお……こんなところで、うそでしょ？」

　高まる鼓動と緊張感に胸を押さえながら、彼女はこっそり追いかけることにした。


「これはもう、運命としか言いようがないわね」