18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~

「それより、いろは」

「ふえっ!?」

 遥さんにぐいっと肩をつかまれて、私はそのまま彼に体を預けた。


「やっぱり熱があるな」

「遥さん、気づいて……」

 私の額に当てられた彼の手が、ひんやりして気持ちいい。


「朝からぼうっとしていたからね。体調が悪いのだろうとは思っていたが、ここまで酷い状態だとは」

 その話をされると急に体がだるくなってきて、また頭がぼんやりした。さっきは(驚いて)気力で立っていたんだなあって思う。


「あの、でもね……数学、ちゃんと問題、全部できたよ」

 ふふっと自慢げに笑うと、遥さんは私の肩をぎゅっと抱いた。

 そして、彼は私の耳もとでささやくように言った。


「ああ、よくやった。頑張ったよ、いろは」


 なんだろう。

 すごく、泣きたくなるくらい、嬉しくなった。

 熱があるせいかもしれないけど、体はだるいのに、不思議と気持ちは落ち着いた。


 あのね、遥さん。

 たくさん話したいことがあるの。

 あなたのおかげでわたし、いろんなことが変わった。

 あなたと出会えてわたし、ただ甘えていたあの頃の自分から卒業できたの。

 これからは、何があっても、あなたのそばで、あなたのために、生きていきたい。


「いろは、帰ろう」

 彼に支えられて、私はこくんと頷いた。



「うん、帰る」

 遥さんと私のおうちに、帰るよ。



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