【極上溺愛】エリート鬼上司は無垢な彼女のすべてを奪いたい
「彼氏、本当はいないんでしょ? あいつはただの元カレだったんだよね」

「えっ」

 手を引っ込める間もなく浴びせられた言葉に、一瞬思考が停止する。

 追い詰めるように正面に立つと、池崎さんは考える暇を与えない勢いで矢継ぎ早に言った。

「今日は有村とのディナーもないんだよね? ほかの予定もないんでしょ? 俺とチキン食べない? 旨い店があるんだ」

 じりじりと間合いを詰められ、さすがに声を上げる。

「すみません、私これから――」

「池崎」

 ホールに響いたのは、ドクッと心臓を震わせる低い声。

 おそるおそる見ると、先輩越しに厳しい表情の鬼部長が目に入った。

「あ、冴島部長、おつかれさまっす」

 普段の調子で目礼する池崎さんに、賢人さんは眉間のシワを深くして告げる。

「悪いが、彼女は俺との先約がある」

 一瞬固まった先輩が、声をひっくり返した。

「……え、先約!?」

 唖然としている池崎さんを尻目に、賢人さんは私の手に指を絡ませ、到着したエレベータに乗り込んだ。

「じゃあ、おつかれ」
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