学校公認カップルの痴話喧嘩に遭遇してしまった。

彼らの出会いは高校入学式。

高身長で甘いマスクのイケメン、東銀雅(ひがしぎんが)は大勢の友人に囲まれていた。
一層強く吹いた桜吹雪に目を奪われたその先に立っていたのが、肩にかかるくらいの黒髪を靡かせた美少女、西彩金(にしあかね)。

ふたりの目と目が合えば、逸せない。
周囲のざわめきもものともせず歩み寄り、熱い抱擁を交わしたのだ。
それから互いに、頬を擦り合わせたり、匂いを確かめ合ったりと、人目を憚らずイチャイチャする。

その場に居合わせた私は思った。
これを運命と言わずして、何を運命と呼べるものか。

考えることは皆同じらしい。
彼ら自身の容貌も相まって、つきあっているとの噂は一気に広まった。

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