先輩の愛に溺れながらずっと
「待って!
佐原くんは、佐原くんはっ!恋人じゃない!
好きじゃない。
行かないで先輩。呆れないで先輩。
嫉妬でおかしくなってもいい!
だからっ!


先輩だけは、めんどくさいって離れないでっ。」


離れたくない。幻滅されたくない。

泣きながらも、
その一心で言葉を繋ぐ。



「やなっ!」

先輩は戻ってきて、私を抱きしめた。


分かって、くれたっ?

安堵とは別に一度流れた涙は止まることを知らない。


「ごめん。俺がただ嫉妬に駆けられてただけ。
しかもそれも俺の勘違いで、ただやなを焦らせて傷つけた。ごめんね。」


ただ抱きしめられながら安心して涙を流した。
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