お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

顔を真っ赤にさせて、そんな事を言う私を。

守人さんは「ふふ、OKです」と柔らかい笑みで見つめ、握ったままの両手をわずかに上げる。



「じゃあ、ジェットコースターに並ぼう!」

「はいッ」



お揃いの耳をつけて、手を握り合って、周りの人とぶつからないよう肩を寄せ合う。

私が人とぶつかりそうになったら、クイッと手を引いて守人さんが無言で守ってくれた。

たまにすれ違う”ガラの悪そうな人たち”の横を通り過ぎる時は、すごくナチュラルに私と場所を代わってくれた。


ねぇ、こんなの……



大事にされてるって、勘違いしちゃうよ――



「どうしたの? 冬音ちゃん。あ、一緒にジュース飲む?」

「い、一緒に⁉」

「僕はマンゴー味にしようかなぁ。冬音ちゃんは?」

「(あ、それぞれ飲むってことか。ビックリした……っ)」



守人さんが話すことに、いちいち過剰に反応したりして。


こんなにドキドキが止まない遊園地は、生まれて初めてのことだった。

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