お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
「嫌だ! 勇運だって分かってるでしょ。ここにある看板、いつ倒れてくるか分からない。
後ろの交番が大破するほど重たい看板だ。そんなものが落ちてみろ、勇運は……死んでしまう」
「……」
後ろの建物、まさか交番だったとは――
頑丈そうに見えた交番が、まさかの粉々。確かに、兄貴の言う通り、板が落ちてきたら俺は助からない。
閉口した俺を見て、兄貴は尚もがれきを除去し始めた。
「なんで、こんな小さな子供に……父親だけでなく、弟まで奪われないといけないんだ! 僕はごめんだ。
子供なんて大嫌いだ。公私混同と言われても構わない。僕は……勇運を一番に連れて行く」
「……」
今にも泣きそうな、そんな怒った顔をした兄貴。
親父の葬式の時だって、飛び出した子供の家族が揃ってウチに来た時だって泣かなかった兄貴が……今、崩れ落ちそうなほどの、弱々しい表情をしている。
だけどさ、兄貴。
俺の足、見ろよ。
板が挟まって、動けないんだって。